自然界ではすべてが循環の中に組み込まれています。植物は太陽の光を浴びて光合成をすることによって育ち、それを動物が食べます。動物はやがて死に、その体は微生物が分解することによって土へ還ります。そして、その土から養分を吸収して植物が生育する。この繰り返しです。
我々人間もこの循環の中で生まれてきたものを摂取して生きています。ですから、食物を生産する行為もこの循環から逸脱するようではいけません。福島園は農業をすることによって循環を作り出していきます。
なぜ農薬や化学肥料を使うべきではないのか―それは生物の循環を断ち切るから。そう教えてくれたのは百姓、赤峰勝人です。農業における問題を根本的に考え、科学的な視点からも検証を重ねており、優れた感性と哲学をお持ちの百姓です。
彼の提唱する循環農法の説くところは非常にシンプル、かつ合理的です。
化学肥料を使うことで確かに収量を増やすことが出来ますが、同時に虫や病気が蔓延します。すると農薬はが必要になるのですが、農薬を使うと生態系のバランスが崩れて自然の循環が断ち切られます。その結果、地力が落ちるためにまた化学肥料を使わないと作物が育たなくなるのです。こうして、農薬と化学肥料に依存せざるをえないという悪循環が作られるのです。
単に人体に悪影響があるだけでなく、自然の循環を破壊してしまう農薬を、福島園では一切使用しません。また、化学肥料も使用しません。さらに、他の地域から有機物を持ち込むことは、本来的な循環から外れていると考え、必要な堆肥は自給できるように準備を整えています。
安全な作物であることを確認して安心して食べてもらえるようにするために、栽培履歴の開示をします。しかし、安全性を確保するだけで十分だとは考えません。
昨今の「無農薬」「有機栽培」を謳った作物のなかには、その志は感じられるものの、慣行栽培されたものの方が美味しい場合があります。食べるという行為は、単に生存のための栄養・エネルギーを摂取するためのものではなく、味わうことを通して楽しむものでもあると思うのです。食べ物を作る以上は、常により美味しいものを作れるよう努めています。
健康志向とともに食の安全性への関心が高まった昨今、農薬や化学肥料の使用量に注意する消費者の期待は確実に強くなっています。では、消費者はどのように食の安全性を確かめるのでしょうか。 私はそれを、スーパーやコンビニの商品ラベルではなく、実際に作っている生産者を見ることで確かめてほしいのです。
消費者はその作物については販売者の言葉から判断するしかありませんが、その販売者がどれほど生産物に精通しているかまで把握するのは困難です。また、安全性の高い作物を生産するどんな素晴らしい技術やシステムが開発されたとしても、それを運用するのは人です。その生産者が消費者と遠い距離にあるようでは、その安全性の確保は覚束ないのではないでしょうか。
食について深く考えるほど、消費者と生産者の距離はたいへんに重要です。私は、私という人物を知っている人にこそ食べてもらいたいのです。そうして、食べ物が作り出される現場との距離を感じてもらいたい。食は生きることの基本ですから、農家との距離が近くなれば、それはきっと生活をより強く味わうことになると思うのです。
これまでの日本の農業は産業としての農の立場が弱く、地域の生産者は叩かれるという表現がよく使われてきました。今でこそ地産地消などの流れで生産者がみずから消費者への販売をするようになりました。農業 福島園は一生産者として、同じ生産者同士のつながりや消費者とのつながりを大切にし、全体としての「農業」を考えていきます。









